PSA方式による産業用ガス分離ソリューション

1959年の創業以来、さまざまな産業機器の開発・製造を手がけてきた山陽電子工業は、PSA(Pressure Swing Adsorption)技術を活用し、独自のノウハウを加えて高濃度の酸素や窒素を発生させる装置を提供しています。酸素や窒素などの優れた性質を活かし、産業界の多様なニーズに応える装置を製造。空気を原料とするPSA装置は非常に経済的であり、環境に配慮した吸着剤を使用することから脱炭素社会に向けたSDGsの取り組みにも大きく貢献します。
私たちは、ガス分離技術をさらに進化させることで、地球環境問題の解決に向けたクリーンテクノロジーを追求し続けます。

PSA技術とは

PSA方式は、ガスの圧力変化を利用して、吸着と脱着を繰り返すことで目的のガスを分離・濃縮する技術です。空気を加圧して吸着剤に通すと、選択的に窒素や水分などが吸着され、残ったガスから高濃度の酸素を取り出す「酸素PSA」、逆に酸素を吸着し窒素を取り出す「窒素PSA」など、用途に応じて吸着剤の種類や工程を変えて実現します。

酸素PSAの場合

PSA技術図
PSA方式の特長
  • 空気を原料とするため、ランニングコストが低減
  • 多様なガスの分離・回収に応用可能
  • 全自動化が容易で、操作・メンテナンスもシンプル
  • 吸着剤の再生が効率的で、環境負荷を低減

製品・サービスラインナップ

1. 酸素発生装置(OXYGEN)

酸素発生装置

高濃度90%以上の酸素を低コストで安定供給し、さまざまな産業に活用いただける装置です。

用途・効果
  • 水質浄化:ダムや湖沼などで水質汚染を改善し、排水処理施設では硫化水素の抑制に貢献
  • 成長促進:農業・養殖業における野菜や魚などの成長をサポート
  • 燃焼効率アップ:焼却炉や溶融炉などの稼働時間短縮や燃料削減につながり、省エネ効果を期待

2. 窒素発生装置(NITROGEN)

窒素発生装置

高濃度99%以上の窒素ガスを安定供給し、食品や化学、医療分野など幅広い分野で利用されています。

用途・効果
  • 食品の酸化防止:カット野菜や医療製品などの品質維持・保存性向上に活用
  • 防爆ガス:石油・化学工場や石油タンカーで爆発事故を防ぐために使用
  • サビ防止:工場配管内の腐食抑制や溶接・半田付けの酸化防止、樹脂成形時の焼け抑制など

3. ヒートレスエアドライヤ(HEATLESS AIR DRYER)

ヒートレスエアドライヤ

PSA技術を応用し、-70℃以下の低露点を実現する乾燥空気を供給する装置です。

用途・効果
  • 乾燥プロセス用途:製造現場で必要とされる清浄な圧縮乾燥空気を提供
  • 病院・研究施設:微細粉塵を除去することで衛生面を保ち、省スペース設計で導入が容易
  • オゾン発生器の原料ガス:上水や下水、プール浄化などに用いられるオゾン発生システムの効率化

技術の強み

設計対応力とスピード

山陽電子工業が培ってきたPSA技術とノウハウにより、お客様のカスタマイズ要望に柔軟かつ迅速に対応可能です。

  • 設置場所の寸法調整
  • L字型配置などの特殊形状への対応
  • 各種配管位置の変更
  • 他システムへの組み込み(OEM対応 ほか)

新しいガス分離技術への挑戦

CO2ガスやメタンガスの分離回収・再利用技術など、これまで培ったPSA技術をさらに拡張します。

  • 排気ガス中のCO2回収装置の実用化を推進
  • メタンガスの分離・回収装置の研究・共同開発を積極的に推進
  • 試作機や開発用機械の一品物にもオーダーメイドで対応

メンテナンスとアフターフォロー

大半がカスタマイズ仕様であるため、導入から立ち上げ・試運転、定期メンテナンスまで一貫サポートします。

  • 技術者が直接エンドユーザーと接点をもつため、ニーズを素早く把握
  • 装置の改良や更新提案も迅速に実施

OEM対応

大手漁船メーカーや活性炭メーカーなどへのOEM実績多数。

  • 限られたスペースや、他装置との組み込みなど特殊な仕様にも対応
  • 上場企業から信頼を得ている厳格な品質管理体制・製造管理体制
  • 部品選定からご要望に合わせた装置製作までトータルでサポート

活用事例

環境保全

ダム
  • ダム・湖沼などの水質浄化や排水処理
  • 焼却炉の燃焼効率アップ、排気ガスからのCO2回収

食品・農業・漁業

食品
  • 食品のロングライフ化(窒素封入・酸素除去)
  • 水耕栽培・養殖魚の酸欠防止、品質向上

工業用途

工業
  • 樹脂成形や金属加工時の酸化防止・サビ防止
  • 高純度ガスによる設備延命・省エネ化

医療・健康分野

培養
  • 酸素供給システムや低振動装置を活かした培養研究
  • 病院等への清浄な乾燥空気供給

これからの取り組み

当社では、引き続きPSA技術の可能性を広げ、より環境負荷の少ないガス分離・再利用技術を開発していきます。CO2回収やメタンガスの有効利用など、新たなソリューションの研究開発を通じて、エネルギー問題や地球温暖化への取り組みに貢献いたします。

お問い合わせ・サポート

山陽電子工業のPSA装置および関連製品に関するご質問や、導入のご相談はお気軽にお問い合わせください。経験豊富な技術スタッフが、最適なソリューションをご提案いたします。